
エンジニアブログ
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2025.04.28
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人間とマイコンとのマルチタスク処理比較 〜頭が2つあればいいのに〜
エンジニアとして入社して数年、任される業務が徐々に増えてきました。
最初の頃は一つの案件のみでしたが、今では複数案件を同時に対応することも
増えてきました。設計や組付けなど、業務の種類も多岐にわたっています。
そんな日々の中でふと頭に浮かぶのが、プロセッサの「並行処理」と
「並列処理」の概念図です。
「並行処理」とは、一つのCPUが複数のタスクを短時間で切り替えながら
処理していく方法です。
まるで、Aさんと話していたかと思えばすぐにBさんに対応し、
Cさんからのチャットにも返す——そんな自分の一日がそのままです。
ただ、現実の自分はCPUほど器用ではありません。
「よし、Aの作業はここまで。次はBに切り替えよう」と思っても、
その切り替えに最低でも数分の「心のウォームアップ」が必要です。
キリの良いところまでやり切ってハーネスの作成に移ろうと思っても、
だらだらと元の設計業務の細部まで気になってしまい、
なかなかタスクを切り替えられません。
人間らしいコンテキストスイッチの遅さに、マイコンのタスクスケジューラの
優秀さをつい羨ましく思ってしまいます。
そして追い込まれてくると、もう一つの図、「並列処理」が頭をよぎります。
こちらはマルチコアCPUのように、物理的に複数の処理ユニットを持ち、
同時に別の処理をこなす形です。
つまり、自分の中にもう一人、あるいはもう一つの頭が存在し、
Aの業務を進めている間にもう一つの頭がBの資料を作っているような状態です。
そう考えると、「もう1つ頭が欲しい……!」という、
ちょっとホラーな願望が芽生えてきます。
でも、実際にそんな自分の姿を想像すると、途端に気分が悪くなります。
二つの口で同時に電話をして、二つの目でモニターを見つめ、
二つのキーボードを二十本の指でカタカタと打っている——。
これはもう、効率化というより「怪物化」です。
やっぱり人間は、マイコンではありません。
切り替えに時間がかかっても、疲れたらコーヒーでも飲んで
ぼーっとする時間が必要です。
そんな不器用さを抱えながらも、タスクを一つひとつ片付けていく姿勢は、
とても人間らしくて愛おしいとも思えます。
そしてその不器用さこそが、やり切った後の達成感を生んでくれるのかもしれません。
今日もまたプロセッサの図を思い浮かべつつ、「人間のマルチタスクって、
なんて非効率で、なんて愛おしいんだろう」と感じながら、自分のペースで
仕事に戻っていきます。
自分を怪物にしてしまうような、気持ちの悪い想像は、控えるように注意しながら。