エンジニアブログ

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物持ちが良かった我が家

私の実家は、割と物持ちが良い家庭だったと思います。服が破れたりすれば、母がミシンで繕い、家電の調子が悪ければ、父がハンダゴテ片手に直してしまう。できるだけ物を長く大切に使うような環境でした。たまに実家に帰ると、まだこれ使ってたんだ、というような物が見つかることがあります。

 

一方、実家を離れてそれなりに年数が経った私の住み家でも、いろいろな物に綻びが出てきています。さすがにミシンは持っていないので、服については諦めがつきます。ですが家電に関しては、技術者の端くれとして何とかしてやろうと、とりあえずドライバー片手に分解をはじめます。しかし今までの不勉強が祟ってか、部品や基板を見ても何がどうなっているか小一時間悩んだ挙げ句、こちらの頭がショートして、無力感の傍らもう一度組み立て直す、といった体たらくです。(…これでは技術者失格!?)

 

とはいえ、最近の家電は機能がたくさんついているせいか、昔の物よりも構造が複雑になっていると思います。また、そもそも素人が分解することを前提としていない設計なのか、分解や組み立てすらも難しい場合もあります。ではメーカーの方で修理してもらえるかというと、保証期間よりも長い時間が過ぎてしまうと、そもそも部品が無くて修理を受け付けてくれないことがあります。

 

メーカー側の気持ちも理解できます。いつ来るか分からない修理依頼の為に、いつまでも部品在庫や人員を割くのは経済的ではないでしょう。それに自宅でメンテナンス可能なんて下手なことを言ってしまうと、問い合わせやクレームが増えるのは目に見えています。

 

しかし世の中としては、資源の消費をできるだけ抑えましょう、廃棄物をなるべく減らしましょう、という風潮です。良い物をより長く使う、そんな姿勢を大事にするメーカーがあれば、その製品を買おうと考えますし、応援したいとも思います。

 

あとこれは私個人の性格による所ですが、長い間大事に使ってきた物には、どんなものであれ、何かそれまでの生活の一部が染み込んでいる気がして、修理できないからいざ捨てようとしても、色々思い出して躊躇ってしまいます。そういった個人的な感情からも、長い間メンテナンスできる物や仕組みが増えれば良いなと思っています。

 

メンテナンスといえば、20歳になって両親に買ってもらった腕時計があるのですが、あれから両親もすっかり歳を取り、時計の針はというと、買ってもらった時よりも進みが遅くなっています。ただ、この時計だけは、遅い時を刻んだまま修理に出せずにいます。