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寅年にちなんだ、今年の楽しみ

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年の干支は”寅”ですね。
皆さんは、名古屋城にある「竹林豹虎図」を見たことがありますか?

本丸御殿の入ってすぐの所に設置されているふすま絵で
来殿者に強大な力を誇示するために描かれた、とされています。
金色のふすまに躍動感のある虎の絵は、とても見応えがあります。
(ぜひ実物を見て欲しいですが、名古屋城のHPでは3Dで見れます。)

ところで「虎」は分かるけどどうして「豹」も描かれているんだろうと思いませんか?
実はこの絵が描かれた頃、豹はメスの虎だと思われてたそうです。

日本に動物園が出来て、市井の人が虎を見れるようになったのは、明治の中頃。
それ以前にも、中国や朝鮮の交易の品として虎が幕府に送られることはあったようですが、
絵師などの一般の人々が、生きた虎を目にすることはなかったでしょう。

そのためお城の虎は、中国や朝鮮から入ってきた絵画を参考に想像で描かれていたとのこと。

このように”虎”はほとんどの人が実物を見たことがないにも関わらず、
江戸時代以前からも、強さや繫栄の象徴として、多く描かれているちょっと特別な動物です。

「大陸に実在するという、強くて、大きくて、鋭い牙を持った、猫のような獣」

私たちは当たり前のように写真や動物園のリアルな虎をイメージできますが、
当時は写真もないので、絵画や伝聞からとても魅力的な生き物に感じたんだろうなぁと思います。

そのため日本画では、虎は思い思いの姿で描かれていて、
作者の想像力や絵への向き合い方が現れているような気がします。

例えば、伊藤若冲の描く《虎図》はとても茶目っ気があり、
岸駒は《猛虎図》を描く際、虎の毛皮や頭骨・足の骨を入手し、
どうにか本物の虎を描きたいと試行錯誤したようです。

今年は美術館などで、虎に関する展示や特集を目にする機会が増えると思います。
「この作者は、『虎』をどんな生き物だと想像しながら、描いたのだろう?」
と想像してみると、ほんの少し作者に近づけるような気がします。

今年の楽しみの一つです。